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〜ベンチャー・スタートアップ・Webサービスに関するニュース&トピックを紹介〜

今、世界で注目を集めるEdtech(エドテック)スタートアップはここだ!〜2013年に20億以上資金を集めた9つの注目Edtechスタートアップ〜

"EdTech "という言葉も徐々に浸透してきつつありますが、今回はIT×教育系のサービスで昨年大型調達したサービスを9つ程紹介していきます。ジャンルとしては大きく以下の4つです。

オンライン講義(オンラインで授業だったりワークショップを受講)
オンライン英会話
家庭教師の検索
教育機関向けのシステム

教育系のサービスに興味のある方がいらっしゃれば少しでも参考になればと。

※今回は、2000ドル以上(今1ドルが100円ちょっとなので、20億円くらい)を目安にしています。

①オンライン講義

今回特に多かったのがオンラインで何らかのレッスンを受講できるというサービス。5つのスタートアップを紹介します。

lynda.com

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最初に紹介するのは、オンラインで様々なジャンルの講義を受けられるサービス、lynda.com
調達額は9つのサービスの中ではトップで1億300万ドル約103億円)です。調達先はAccel Partnersなど。

いろいろな分野の専門家が動画講義を投稿し、受講者ユーザーは毎月一定の金額を払うことで無制限に講義を受講することが出来る仕組みです。

とにかく講義の種類&数がかなり多くて圧巻です。IT系からビジネス系、趣味系まで。
例えばIT系だったらプログラミング言語はもちろん、Photoshopなどのデザイン系のソフトやMicrosoft Office、さらにはFacebookやPinterestなどのWebサービスの使い方までもう何でもある感じですね。

月額25ドルのプランがスタンダードのようなので、気になる方は是非受講してみてください!

 

Pluralsight

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ITに特化したオンライン講義を受講できるサービス、Pluralsight 

2750万ドル(約27億円)をInsight Venture Partnersから調達しています。

このサービスでは1000を超えるITに関するオンラインの講義が登録されています。
最近増えてきたプログラミング系の講義はもちろん、セキュリティだったりソフトフェアに関する講義、さらにはMicrosoft OfficeやUI デザインなどITに関して本当にさまざまな講義が登録されているのが特徴です。

to C向けとto B向けがあるのですが、個人で利用する場合には月額29ドル(約2900円)がスタンダードになります。

がっつりやりたい人にとってはかなり格安な印象です。

creativeLIVE

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専門家によるワークショップをオンラインで受講できるサービス、creativeLIVE

Greylock Partnersなどから2150万ドル(約21億円)を調達。

このサービスでは、ワークショップの楽しみ方が2通りあります。
1つはライブで受講する方法。カレンダーからどの時間にどのワークショップが放映されるかが把握でき、リアルタイムで受講します。この場合は無料で受けることができます。

2つめは、過去に行われたワークショップを録画で見る方法。この場合にはワークショップごとに変わってきますがワークショップごとに一定の金額を払って受講する形になります。

全てを確認したわけではありませんが、99ドル(約10000円)、149ドル(約15000円)のタイプが多かったです。

高いかなーと思ったのですが、10時間分くらいある講義とかもざらにあったのでそれを考えるまぁ妥当なのかもしれません。(1つの動画自体は数分〜30分くらいに分割されています)

ジャンルに関しても、ビジネスから、写真やアート、ミュージックまで様々です。

Sympoz

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趣味を見つけたい、何かを気軽に学びたいという人にオススメのサービスがSympoz

Adams Street Partnersなどから3500万ドル(約35億円)の出資を受けています。

まずサービスの仕組みとしては様々な分野の専門家が投稿した動画コンテンツを元に学んでいくというシンプルなラーニングプラットフォーム。ジャンルとしては大枠として「craftsy」「Entrepreneurship」「Woodworking」があるのですが、中心はcraftsy。

ケーキのデコレーションや、縫い物、料理など手芸関連の講座が特に多くなっているようです。

ユーザーは各講座に応じた料金を支払って(29,99ドルが多いようです。だいたい3000円ですね)参加することができます。

このサービスの特徴としては、"クラス感"を他のサービスより楽しめること。受講画面を見てみると、なんとなくSchooに似たUIとなっており、仕組み自体も似ていて、別の時間に受講している他のユーザーの質問や、それに対するディスカッションがまるで今行われているかのような、臨場感を味わえるシステムとなっています。

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蛇足ですが、僕自身Schooは唯一課金をしている程好きなサービスなので、なんとなくこのサービス調べてて嬉しかったです。

Coursera 

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今回紹介するサービスの中でも最も日本で知られている印象のCoursera 

New Enterprise Associatesなど複数のVCから2回にわけて、トータルで6300万ドル(約63億)を調達しています。

オンラインで、しかも無料で世界各地の大学の講義が受講できるサービスで、現在受講者数は500万人を突破しており、講義数も500を超えている模様。

今回のオンライン講義系の中では、大学がコンテンツを提供するという意味で他とはちょっと違うタイプです。

コンピュータサイエンスからビジネス、社会学や生物学までたくさんのジャンルの講義が受けられるのでかなり楽しいサービスですよね。

②オンライン英会話

国内でもインターネットを通じて低価格で英会話を学べるサービスがいくつかありますが内容としてはかなり近いです。

Open English

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オンライン英会話サービスで今注目を集めているのがOpen English

Insight Venture Partnersなど複数のVCから6500万ドル(約65億円)を調達しています。今回がシリーズDの資金調達となっており、トータルでは1億ドルを超える資金を調達している勢いのあるスタートアップなんです。

内容としては、マンツーマンではなく、少人数のクラスで英会話を学んでいく形のサービス。アメリカンイングリッシュの先生だけが登録されていて、アメリカに住んでいるSpanish speakerをメインターゲットとしていることが特徴となっています。 

③家庭教師の検索

今回の中ではちょっと毛色が違う、家庭教師のデータベースを紹介します。

WyzAnt

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最後は家庭教師と生徒のマッチングサービス、WyzAnt

Accel Partnersから2150万ドル(約21億円)を先月調達しています。

仕組みとしてはシンプルで、家庭教師が登録されているデータベースから自分に合った先生を探すというもの。

各先生ごとに個別のページにて、プロフィールや他の生徒のレビュー、直接先生に連絡をとるためのメールフォームなどが設置されています。

検索もかなり詳細に出来、例えば英語の場合にもリーディングやライティング、グラマーなど複数のカテゴリから絞って先生をサーチすることが出来ます。

すでに7万4千人以上の先生が登録されていて、たくさんの先生から選べるのが嬉しいポイント。もちろん日本語の先生もたくさん登録されています。

④教育機関向けシステム

最後は個人向けではなく、教育機関向けにシステムを提供している2つのスタートアップを紹介します。

Instructure

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教育機関向けに、教師や生徒の負担を減らしつつもより優れた教育が行われるためのシステム"Canvas"を提供しているのがInstructureというスタートアップ。

Bessemer Venture Partnersなどから3000万ドル(約30億)を調達しています。

主に学校のクラスごとに導入する形になるこのCanvasというシステムですが、これを用いることで、

・教材を簡単にアップロード&ダウンロード出来たり、
・生徒1人1人の進捗の管理や理解度の把握が従来より負担無く正確に出来たり、
・授業で伝えきれなかった詳細の説明を動画で簡単にアップロードでたりすることが出来ます。

他のサービスとの連携もかなり簡単にできるので、教材として有効なYoutubeの動画やKhan Academyの講義を共有することも出来ます。

まだまだ改良が必要な部分もあるのでしょうが、もしもう一度学校教育を受けるようなことがあるなら是非とも使ってみたいシステムだなぁという印象を受けました。

Knewton

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9つのサービスの中で個人的に1番面白そうだなーと思ったのが、教育×データサイエンスという色が強いKnewtonというサービス。

GSV Capitalなどから5100万ドル(約51億円)の出資を受けているスタートアップです。

このスタートアップが掲げるのは個人個人に合った教育を世界に届けること。(personalized education)

そのために個々の生徒の強みや弱みを始め、学習に関するデータを分析した上でその生徒にあった教材や進め方を提示するサポートをするエンジン&プラットフォームを開発しています。

すみません、文章がややこしいですね。エンタープライズ向けにシステムを提供しているスタートアップです。教育機関はもちろん、教材を作っている出版社からも今話題となっているようです。

さらにはWorld Economic Forum in DavosにてTechnology Pioneerに選ばれたりなどかなり注目を集めているサービスで、教育系に興味がある方は絶対に抑えておいた方がいいと思います!

終わりに

教育系といってもいろいろなサービスがありますが、今注目とお金が特に集まっているのはオンライン講義タイプということがわかって頂けるかと思います。

その中でも特にC2Cのサービスがアツくて、これに関してはコマースだけでなくどの分野においても共通して注目な市場となりそうです。

※参考記事
Top Ed-Tech Trends of 2013: The Business of Ed-Tech